オーダーメイドリングの作り方紹介も折り返しに差し掛かりました。
実際にはワックス原型の製作に最も時間がかかるので、全体的な進みとしてはもうすでに後半に入っていますかね。
ジュエリーやアクセサリーの製作方法には色々あって、今回はキャスト(鋳造・ロストワックス)という技法を用いてオーダーリングを製作している、ということは何度も説明してきましたが、
じゃあ実際に「キャストってどうやるの?」「どんな感じなの?」と言う部分を知っている人は少ないと思います。
なので、今回はキャスト(鋳造)について少し詳しく説明したいと思います。
鋳造とは?
鋳造とは、溶かした金属を型に流し込んで固めることで整形する加工方法で、古く型ある技法です。
例えばお寺にある鐘、硬貨、そして大仏なども鋳造で作られた物で、鋳造で作られたのものを「鋳物」(いもの)と呼びます。
同じように鋳造に用いられる型を「鋳型(いがた)」と呼びます。
鋳造の方法にも色々あって、鐘や仏像など大きなものは砂型を使用することが多いです。
原型の周りを砂で固めてから原型を取り除き、空いた空洞部分に溶かした金属(湯)を流し込んで固める方法で、鋳造後の表面は荒くざらついています。
ジュエリー・アクセサリーの鋳造は砂ではなく、石膏を使います。
水に溶かした石膏で原型の周りを固めて方を作る方法です。
ロストワックス製法
ジュエリーやアクセサリーの製作で一般的に用いられる鋳造は「ロストワックス製法」と呼ばれます。
名前の由来は鋳造の工程を見ていけば自ずと分かってきます。
以前から書いている通り、キャストでの製作の場合は「ワックス」で原型を製作します。
↓がワックスを加工して作った「ワックス原型」。
これがキャストをする際の大元の型になります。
キャスト(ロストワックス)製法の簡単な手順を説明します。
完成したワックス原型に「湯道」と呼ばれるワックスの棒を溶かし付けます。
↓の画像で言うと、真ん中あたりにある水色のワックスや右下の緑色のワックスについている「棒」の事。
この湯道はその名の通り溶かした金属(湯)を流し込むための通路で、これがなければ鋳造はできません。
湯道は物によって太さ、本数、そして取り付ける場所など様々で、上手く取り付けるにはかなりの経験を必要とします。
湯道を取り付けたワックス原型を枠で囲み、水で溶かした石膏を流し込みます。
枠のサイズ、石膏の種類なども様々で、さらに溶かす水の配分や温度、湿度にまで気を使います。
そうして流し込んで固めた石膏を焼成釜(電気炉)に入れて焼きます。
そうするとどうなるか。
石膏は焼き固められ、ワックス原型はその名の通り「ロウ」なので、型から溶け出て、さらに高温で焼くために完全に蒸発して無くなってしまうんですね。
※ワックスが溶け出して蒸発して無くなる=ロストする、ということで、この方法を「ロストワックス」と呼ぶんです。
そうして石膏の中には「ワックス原型と同じ形の空洞(=雌型)」が出来る訳です。
その中に溶かした金属(湯)を流し込んで冷やし固めると、ワックス原型と同じ形の製品が出来上がる、というのがロストワックス製法の流れです。
キャストから上がったばかりの製品は酸化して真っ黒なので、硫酸で酸洗いして表面を白くしてから仕上げに入ります。
仕上げの具体的な方法に関してはまた次回以降、「オーダーメイドリングの作り方」で紹介します!
最後に、今回説明した内容を簡単なイラスト動画にまとめてありますので、よろしければご覧ください!
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