アクセサリー・ジュエリーの作り方にはいろいろな方法がありますが、代表的な方法として以前のブログにも書いたように、
1、地金(素材となる金属)を直接加工する方法
2、ワックス原型を制作し、鋳造で制作する方法(キャスト・ロストワックス)
の2通りがあります。
当然どちらの方法も使いますが、G-IRONの場合は割合として圧倒的に2のワックス原型を制作して〜の方法を使う場合が多いです。
両者の大きな違いは、地金(金属)を直接加工するか、ワックスで原型を制作するか、になるわけですが、細かな装飾や立体的な造形、小さな文字などを地金に直接加工するのは非常に難しいです。
なので、基本的に地金では制作出来ないようなアイテムを鋳造(キャスト)製法を利用して制作する訳です。
では実際に、具体的にはどんな方法、工程で制作しているのか?
今回から数回に分けで、実際にオーダーいただいたリングの制作工程を紹介しつつ、完成までを追っていきたいと思います。
リングがどんな風に出来るのか気になる方はもちろん、彫金作業に興味のある方も参考になる様に書いていければと思っています。
※キャスト(ロストワックス)製法はワックスを削ったり盛ったりして原型を制作するので、厳密に言うと彫金作業ではないんですが、キャスト後に金属を加工することもあり、広い意味で「彫金」と言っています。
まずは完成品のリングをご紹介。
このシンプルでいてどこか味わい深い表情のスカル(ドクロ)リングの作り方を紹介していきます。
1、ワックスを用意する
これ↑がワックス。
ワックスには形、色等様々な種類があり、それぞれに硬さ、切削性、溶ける温度、溶けた後の状態などが違います。
今回は個人的に好きな紫色のリングワックス(元からチューブ状に加工されて販売されているワックス)を使用して、まずは大まかに切り出します。
2、リングに必要な幅に整え、指定のリングサイズまで広げる
大まかに切り出したワックスの断面を必要な寸法に近づけるように削っていきます。
大体の幅が出たら、リングの内側を指定したリングサイズまで広げます。
リングサイズを広げるのはこんな工具↓
一番右にある長い棒状の工具で、「リーマー」と言います。
テーパーの付いた棒に刃が付いていて、回転させることでリングの内側を削っていきます。
ちなみにリングサイズはシルバーの時は0.5〜1号程度大きめにします。
キャストの際に縮むので、その分を考えて原型を製作するわけです。
プラチナの場合は仕上がりと同じくらいで良いです。
3、リングの厚みを出す
指定のリングサイズまで広げたら、あらかじめ決めておいたリングの「厚み」(リング腕部分)まで外側を削っていきます。
そうそう。指定の寸法まで削るために、大事なのは罫書き(けがき)です。
ワックスに直接線を描くわけですが、その時に↓の真ん中にあるカニのハサミのような工具を使用します。
これはカニコンパスと言って、罫書き用の工具で、ワックスでも地金でも直接傷をつけて罫書きます。
上のワックスの画像をよく見ると、線が入っているのが分かると思います。これがカニコンパスで罫書いた後。
例えばリングの内側に合わせて罫書く際など少しコツが必要だったり、あまり深く罫書いてしまうと後で消すのが大変なので、ある程度の慣れが必要です。
サイズもいろいろありますし、スプリングコンパスという同じ様な用途の工具もあります。
話を戻します。
こうしてリングサイズ、リングの(最大)幅、リングの厚み(腕部分)を出しました。
が、この状態ではまだ寸法ぴったりという訳ではありません。
当然この後成形がありますし、傷取り、仕上げ、さらにはキャスト後の仕上げ等を考慮し、ある程度余裕を持たせています。
それから正面部分にワックスが分厚く残っていますが、この部分にスカルの顔がくるので、この状態ではまだ手をつけていません。
さて、そんな訳で今回から実際にオーダーいただいたアイテムの作り方を画像を交えて紹介していきます。
まだまだ続きますので、次回もお楽しみに!
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