「シルバー地金で原型を製作して、キャストでプラチナにする」
今回のオーダーメイド結婚指輪はそんな流れで製作しています。
というわけで、オーダーいただいた結婚指輪の作り方紹介、第2回。
前回、地金から製作した2対のリング↓の外側のリングを甲丸状に加工しました。
さて、今回は甲丸状に削ったリングは一度置いておいて、内側の幅の広いリングを加工していきます。
ミル打ちを施す
レディースのリングには今回「ミル打ち」を施します。
ミル打ちとは何か?に関してはこちらの記事に詳しく書いています。
ミル打ちの方法
ミル打ちの際に使用する工具は「ミルタガネ」という工具。「ナナコ」や「球ぐり」とも呼ばれます。
↓画像の右上あたり、木でできた持ち手のようなものと、その周りにある細い棒が「ミルタガネ」です。
これはどういった工具かというと、金属地金の表面に「玉」を作る工具。
ミルタガネの先端は半球状にえぐられていて、金属に押し付けたり叩き込むことで表面を玉状にします。
他にも、石留め(ストーンセッティング)の際に多用するのがこのミルタガネ。
石を留める方法は様々ですが、「石を留めるための爪を丸める」または「そのまま丸めた箇所を爪代わりにする」、場合にミルタガネを使います。
あくまで参考ですが、↓もミルタガネの使用例。
リングの正面に石が留まっていますが、よく見ると各石の周りに4つの丸い玉状の点があるのが分かるかと思います。
この4つの玉が石を抑え込むための爪なわけですが、これを作ったのがミルタガネなんです。
↑の画像の石留めの仕方は「ミル留め」という技法で、石留めの際に直接ミルタガネを使って石を留めるという非常にシンプルな方法ですが、他にも周りを彫り込んでから残した部分を爪にして留める方法などもあり、その場合も最終的には爪の部分をミルタガネで丸く仕上げます。
方法としては、丸くしたい場所にミルタガネの先端を置いたら、グリグリと押し込むだけ。
これで玉が作れます。
というと非常に簡単そうに聞こえますが、実際には最初の位置決めや軽く留める際の力加減、オス角度、「グリグリ」する際の動きなど、結構な技術を必要とします。
僕もまだまだ上手く行かずに、日々精進しています。
さて、話を戻しますが、実際にリングに見る打ちを施していきます。
リングの側面に一周ラインを入れてあとは極力ずれないように一つづつ慎重に、しかしリズミカルにミル打ちを入れていきます。
途中の画像がないので申し訳ないですが、↓が一周ミル打ちをし終わった状態。
ミルの高さ、そしてミル同士の間隔が一定でないと格好悪いので、非常に神経を使う作業。
なかなか熟練の技が必要とされます。
画像が分かりにくくて申し訳ありませんが、リングの下の端に小さな玉が連続して並んでいるのが分かるかと思います。
同じことを逆サイドにも。
実物はもっと綺麗でクラシカルな感じだったんですが、こうやって画像で見てみるといまいちに見えますね。
もっと寄って撮ればもっと綺麗なのが分かるかと思いますが、いかんせん実物はとっくのとおにご依頼主様の手に渡っているので、この微妙な画像で勘弁してください(笑)
さて、これでとりあえずミル打ちは完了。
今回はレディースのみミル打ちを入れましたが、もちろんメンズの方にも入れようとも思えば入れられますよ。
次回は甲丸状に削り出したリングにさらなる加工を加えていきますので、引き続きお楽しみに!
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