今回もオーダーいただいた結婚指輪の作り方紹介を進めていきます。
完成品の素材はプラチナ(Pt900)。ですが原型をシルバー(SV925)で製作して、そこから型を取りキャスト(鋳造)でプラチナにする方法で今回は製作しています。
前回、レディースのリングの縁に「ミル打ち」を施しました。
ちなみに、ミル打ちを施したのは幅が広くて薄めのリング。
幅が狭くて厚みのあるリングと組み合わせて一つのリングにしていきます。
↑こんな感じ。平打ちのリングと甲丸リングは別々に製作されていて、この段階ではまだ一体化していません。
リング表面を斜めに削る
今回は幅が狭くて厚みのあるリング(↑の画像で言うと甲丸のリング)の加工を行っていきます。
まずはマジックなどで実際に削るイメージを直接リングに書き込み、鉄鋼ヤスリで削っていきます。
これが削っている途中。
鉄鋼ヤスリで大まかに削った後、甲丸の精密ヤスリを使って削る角度、深さ、幅などを調整します。
今回はリング全面に8箇所の「えぐり」を入れるので、全体のバランス、角度、などが狂わないようによくチェックしつつ慎重に削ります。
全体のバランスが決まったら、さらにえぐりを大きく、深くしていきます。
また同時に傷を細かく整えます。
鉄鋼ヤスリ、精密ヤスリの後はリューターポイントのロールペーパーなどを使ってさらに形を整えつつ、傷を消していきます。
最終的にはシリコンポイントの荒目くらいまで仕上げています。
ここまで行ったら外側のリングはとりあえず完成。
当然、メンズ、レディース共に同じ加工を行いました。
この段階で組み合わせてみると・・・
リングの全貌が見えてきました。
ロウ付け前の最終確認
ちなみに、この段階ではメンズのリングの縁はまだ仕上げていません。
ロウ付け後に幅の調整ができるからです。
また、レディースのリングはミル打ちされていますので、幅はほとんど仕上がりの状態まで進んでいます。
ロウ付けの前に諸々確認。リング同士のタイトさはどうか?幅は一定か?、後で磨くのが難しい部分はしっかり仕上げてあるか?などなど。
さて、確認が完了したらいざロウ付け。
ロウ付け
今回はリング同士を完全に一体にする必要があるので、隙間が空いていたり、ロウの跡が残っていたりするのは当然NG。
なので、一気にロウ付けはせずに全体を温めつつ、ポイントごとにロウ付けしていく感覚。
等間隔でロウを配置して溶かしてから、ロウとロウの間に新たにロウを配置して隙間を完全に無くす、といった感じで進めました。
これ↑がロウ付け後。
しっかり酸洗いをしていないので、フラックス(酸化防止剤)が残っていて分かりづらいですが、リング同士の隙間は完全になくなっています。
そしてこちら↓が酸洗い後に磨き直した状態。
メンズとレディースのリングが行ったり来たりしているので分かりづらいですが、ミル打ちが入っている以外の作業は全て同じ流れで作業しています。
原型の完成
さて、これにてシルバー原型の完成。
この後の作業としては、ゴム型取り〜キャスト、という流れ。
キャストに関して詳しくはこちらをご覧ください。
今回はシルバー地金ということで、直接ゴム型を取ります。
そして完成したゴム型にインジェクションワックスを流し込むと、リングと同じ形のワックスができるので、それをキャストする、という訳です。
原型の段階できっちり磨き上げる必要はありません。
なぜなら、磨き上げることでリングのエッジ(角)が丸まってしまい、型取り後キャストをすると結果としてエッジのだれた作品になってしまうためです。
ペーパーの番手でいうと、#1000くらいまで仕上げておけば問題ありません。
また、ゴム型取り〜キャストと行うと、全体が縮みます。
なので、原型の段階では、サイズとして1号程度、幅や厚みも気持ち大きめにしています。
という訳で、今回はこの辺で。
次回はキャスト後、吹き上がりの状態からの紹介となります!お楽しみに!
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