前回のブログで書いた通り、こちら↓のペンダントの作り方を今回から数回に分けて紹介していきたいと思います。
例によって横道にそれたり関係ありそうで無さそうな話をしたり、色々と脱線する可能性もありますが、気長にお付き合いください。
デザイン
全てのアイテム、というわけではありませんが、多くのオーダーアイテムは事前にデザイン画を製作し、(もちろんご了承いただいた上で)それを元に製作していきます。
なので今回はデザイン画からご紹介。
こんな感じです。
昨今3Dでのデザインなども多く、完成の実物に近いイメージで製作する会社やブランドも増えていますが、残念ながら3DCADなどは使えません。
(実は以前の仕事でCADを使用していましたが、工業系でしかも2Dだったのでジュエリー関係には使えないのでした)
なので、(アイテムにもよりますが)できるだけ立体的に見て実物に近いように、完成品のイメージが伝わるように心がけて書いています。
また場合によっては陰影を付けたり、グラデーションを付けたりして、とにかく形のイメージがご依頼主様にご理解頂けるまで、何度でも修正します。
今回は↑のデザイン画でゴーサインを頂きましたので、こちらで進めます。
ワックス原型製作
今回のペンダントトップは大きく分けて3つのパーツで構成されますが、バチカンは地金(金属)から製作するので、ワックスで製作するパーツは二つ。
土台となる板と招き猫本体です。
というわけで、まずは土台となる背面の板から製作してきます。
土台となる板の製作
最初はワックスの塊から切り出して設定の厚み、形状まで削ります。
切り出しには糸ノコ(ワックス用のスパイラル刃)や小さなノコギリの刃を付けたカッターなどを使用して切り出し、
鉄鋼ヤスリや紙ヤスリで設定したラインまで削ります。
ちなみにこれ↑は裏面。表面には実際の寸法で印刷した紙を貼り付けています。
これを裏返しすとこんな感じ↓に。
縁部分を残し、中は一段掘り下げてから槌目模様風に加工しています。
ちなみに、槌目模様(つちめもよう)とは、金槌で叩いて付けた凹凸模様の事。叩く強さや金槌の頭の形状などで槌目模様も大幅に変わります。今回は槌目も洋風ということで、実際にはサークルカッター(菊切り)というリューターポイントで一つ一つワックスを削り、模様を彫りました。
さらにこの後縁との境目の角部分にも槌目風に削っています。
サークルカッターを使うと縁も削ってしまうので、スパチュラ(下記参照)を使用して縁を傷つけない様に慎重に削りました。
続いて土台となる板の下部、招き猫を置く部分を作ります。
まずは↑のかまぼこの様なパーツを作って・・・
土台となる板に配置。
そしてワックスペンで溶かしつけます。(残念ながらその作業中の画像がありません・・・)
ちなみに↓が現在使用しているワックスペン。
ハンドピーズの先端が半田ごての様に熱くなり、ワックスを溶かします。
ちなみに今回は、ワックスを溶かして一体化しつつ、さらに下の部分にワックスを持ってから成形しています。
こんな感じに完全に一体化しました。
下から見ると招き猫が鎮座する板が土台となる板と滑らかに繋がっています。
さて続いて、この土台となる板の裏面の加工に入ります。
板の裏面を加工する
板の裏面にデザインを印刷した紙を貼り付けます。
デザイン画では黒くなっていた文字ですが、あのデザイン画はあくまでも完成のイメージ。
この後の作業を考えると、白抜きにした方が都合が良いのです。(個人的見解ですが)
なぜなら、作業的には文字のラインに合わせて、デザインナイフで切り込みを入れて、不要な部分を剥がしますが、文字全体が黒くなっていると、ラインのどの部分をカットして良いのか分かりづらくなってしまい、正確な作業がしづらいためです。
可能な限り細い線が一本あるだけの方が、正確な作業がしやすい、という訳ですね。
そして紙を剥がした部分のワックスを彫ります。
スパチュラ、または針を加工した工具などを使って、出来るだけ彫った部分の「壁」が直角になる様に慎重に作業します。
↑がスパチュラ。歯医者さんで見かけるアレです。
この先端を必要に応じて加工して、ワックスを彫っていきます。
(詳しくは彫金工具紹介で!)
粘土細工に近い様ですが、粘土は基本的に盛りながら成形していくもの。ワックスは削りながら成形していくもの。
近い様で実は逆の作業をするんです。
そんな感じで徐々に紙を剥がしつつワックスを彫り、全体を彫り終えました。
可能な限り壁は直角に、そして深さも均一に。
単純な作業ではありますが、なかなかの技術を必要とする作業で、個人的にはとても好きな作業です。
平面への文字彫りはG-IRONの得意技、と自分で決めつけています(笑)
さて、これでワックス原型の一つ目のパーツ、土台となる板が完成しました。
次回はメインのパーツである招き猫の製作に入ります!
今回の作品の製作は始まったばかり。
まだまだ続きますので、お楽しみに!
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