オーダーいただいた結婚指輪の作り方紹介もいよいよ佳境。
今回で完成となるか!早速進めていきましょう。
傷取り〜借り磨き
ここでは復習編ということで、キャスト上がりから前回までの流れをざっとおさらいしましょう。
1、キャストから上がったリングには湯道がついていますので、まずはそこをカットしてから削り、周りになじませます。
2、リングのサイズ調整とリングの真円出しを行います。芯がねにリングを通して木槌で叩いて調整します。
3、リング内側の傷を細かく揃えます
4、リング外側の傷を細かく揃えます
4−1、レディースのリングはミル打ちを打ち直し、粒を綺麗に整えてから、4に進みます。
5、炭磨ぎ〜ヘラがけを3回以上繰り返し、傷をさらに細かく仕上げます。
6、中目のコンパウンド#2000〜#4000程度をつけたバフで仮磨き
という感じ。
前回までの記事でこれらをもう少し細かく紹介してきました。
そして今回は、仕上げ前の最後の作業、石留めです。
石留め
宝石に関して
今回は結婚指輪なので、やはりダイヤモンド。
メンズで0.03ct、レディースで0.02ctとサイズは小さめですが、可能な限りグレードの高い綺麗なダイヤを使用しています。
今回はメンズ、レディース共に石を留めますが、「メンズは石無しで」とか「レディースは数を増やして」、などのご要望ももちろん承ります。
石留めの方法
石留めの方法(留め方)は色々とありますが、今回は「ミル留め」という方法で石留めをします。
(その他の様々な留め方に関してはまた別の機会に記事にしたいと思います)
ちなみに今更ですが、↓がミル留め。石に対して丸い爪が4本、対角線上に配置されています。石は4つの爪でしっかりと固定されています。
もっともシンプルな留め方の一つで、思いっきり石が主張するものや根本的に石留めの方法が違うものなどを除いて、大体この留め方で留めることが多いです。
(G-IRONだけの話ですよ)
単純に個人的な好みなんですが、石と爪だけのシンプルな関係、というのが好きなのかもしれません。
場合によっては周りを彫って石を止める場合もありますが、特にご希望のない場合はこのやり方で石留めさせて頂いております。
さて話を戻して、こちら↓が仮磨きまで行った状態。
石留めの手順
この段階では石を止めるための穴は特に手を付けていません。
ワックス原型の制作時に開けた仮の穴のままです。
この穴を調整します。
リングを彫刻台にセットして、穴をドリル刃や菊切り(サークルカッター)のリューターポイントなどを使って穴を慎重に調整していきます。
ちなみにこれ↓が彫刻台。加工途中の画像がなくて。。。申し訳ありません。。。
穴を調整して↓の画像のように石が収まりました。(とはいうものの石の部分にピントが合ってないので分かりづらいですね。。。すみません。。。)
基本は石のトップの面(テーブル)がアイテムの表面と同じ高さに来るように調整します。
ですが今回のリングはご覧のようにえぐったような形なので、横から見ると中央が最も凹んでいる訳です。
なので、中央部分は少しだけテーブルが出る(触ってもほとんど分からない位)くらいに調整しました。
さてそうやって穴の調整が済んだら穴あけの際のバリを取り除き、傷を綺麗にしてから、いよいよ本番の石留めとなります。
石留め本番
石に対して4つ角にミルタガネを使って爪を作りますが、この時に一気にグッと押すと石が傾いたり位置がずれたりする恐れがあるので、
まずは軽くミルタガネを押して爪の痕を残すようなイメージで位置決めします。
そのあとは徐々に力を入れていきますが、ここでも一箇所ずつではなく、4箇所を順番で少しずつ押さえ込んでいくようなイメージです。
そうしてしっかりと石が止まったら、最後に爪部分を「グリグリ」してしっかりと玉を作りつつ、綺麗に光らせる、といった流れ。
うーんわかりづらい。。。
ま、そんな流れで石留めをするわけです。
爪(玉)の位置がずれたり爪(玉)が綺麗に出来て無いとかっこよく無いので、細心の注意を払って慎重に留めます。
そうして石留めが完了したら、いよいよ仕上げに入ります。
仕上げ磨き〜完成
仕上げはバフ。
仮磨きの際に使用した#2000〜#4000程度のコンパウンドを改めてかけてからコンパウンドを細かくしていきます。
石留めの際にごく細かな傷などが付いている場合があるからです・当然大きな傷がついた場合は磨きの前の段階まで戻る必要があります)
あとはコンパウンドを細かくしていくのみ。
あくまで仮にですが、#2000からスタートしたら、#4000〜#6000〜#8000という感じで番手を細かくしていきます。
プラチナの場合は「ピカ素」という仕上げ用のコンパウンドを使ってサッとバフを当て、綺麗に傷が消えていれば磨きは完了。
(ちなみに、回転しているバフ布に磨きたい製品を押し当てて磨くことを「バフを当てる」と言います)
最後に磨きの際にこびりついたコンパウンドなどを綺麗に洗い落としたら、リングの完成となります!
だいぶ長くなってきたのでバフに関してはかなり省略して説明しましたが、なんとなく分かりましたでしょうか?
またバフに関しては後日もっと細かく作業の内容や注意点、行程などを説明したいと思います。
さて、そんなわけでようやく完成まで漕ぎ着けました。
途中からこのブログをご覧いただいた方のために、今回のリングはすでに以前の記事で紹介していますので、
完成品が知りたい、という方はこちらの記事をご覧ください。
結婚指輪は基本的にシンプルなものが多いですが、今回のように非常にこだわりを持って製作できるのがオーダーメイドの良いところ。
一生着けていくものだけに、手は抜けませんし、製作する側としてもプレッシャーは大きいです。
ですが、お渡しした時の喜んだ顔を見たり、お送りした場合の感謝のメールを頂いたりすると、「やっぱりやってよかった!」と思う訳です。
まあ結婚指輪に限らず、オーダーメイドはほとんどそうなんですが、やはり特別感が違いますからね。
今後結婚指輪に限らず、オーダーメイドのアクセサリー、ジュエリーをご検討中の方は、今回の記事などをぜひ参考にしていただければ幸いです!
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