前回はゴム型の説明を長々とさせていただきましたが、またオーダーいただいた結婚指輪の作り方に戻りたいと思います。
吹き上がり(キャスト上がり)
何度か説明していますが、今回のリングはシルバーで製作した原型を元に複製用のゴム型を製作し、そのゴム型から製作するワックス(インジェクションワックス)をキャストしてプラチナ(Pt900)にしています。
キャスト上がりがこちら↓
吹き上がりの表面(鋳肌)も目立った荒れなども無く、良好。
プラチナに限らず、キャスト品はキャスト作業中に発生する小さな気泡が原因で「ス」という小さな凹みが出来やすく、場合によっては大幅な手術が必要になったりします。
今回はそういった加工は必要なし。それだけでもなかり時間短縮になります。
上の画像の赤い矢印にある出っ張りが「湯道」。溶かした金属(湯)を流し込む道です。
湯道の除去
基本的にはほどんとの作品の場合、キャスト上がりに行う作業としてまずは湯道の除去を行います。
何故なら、不要な部分だから。
特に今回はリングのデザイン上、腕中(内側)に湯道が付いているので、いの一番に除去してしまいましょう。
ちょっと画像がなくて申し訳ありませんが、糸ノコでできるだけギリギリにカットしてから、鉄鋼ヤスリで削り、精密ヤスリで周りになじませるイメージです。
湯道が完全になくなって周りと馴染んだら、次の工程に進みます。
リングサイズ出し、内側の加工
湯道がなくなったリングは真円出しとサイズ出しを行います。
キャスト上がりのリングは大概歪んでいるので、芯金にリングを通し、木槌でコンコンと叩きながら拡げて行きます。
歪みが無くなってサイズが予定した通りになったら、リングの内側の傷取り〜磨きと進めます。
ちなみに、リングサイズに関して少し書いておきましょう。
シルバーの場合、原型は仕上がりのサイズよりも1合ほど大きく作っておくのが良いですが、これはキャスト時に縮むため。
設定通りのサイズでキャストしてしまうと吹き上がりのサイズが小さくなるので、結果サイズを広げなければならず、余計な手間がかかってしまいます。
ですがプラチナの場合は、真円出しの際にかなり伸びるので、原型の際に広げておく必要は無し。
そういった意味ではシルバーよりもプラチナの方が分かりやすいですかね。
真円出しとサイズ出しが終わったら、リング腕中を進めていきます。
湯道を削る際に精密ヤスリの油目などを使っているので、様子を見て特に問題なければ、この段階ではあまりヤスリは使いません。
まずは荒目の紙やすり(ロールペーパー)で傷を整えて、徐々に番手を上げて傷を細かく揃えます。
こんな感じ↑になりました。
私自身吹き上がりの画像を見て気づいたんですが、石(ダイヤモンド)を留めるための下穴、シルバー原型の段階で開けていましたね。
まああくまでも仮の穴ですが。
実際には石留めの際に穴のサイズや深さは調整しますが、一応原型の段階で下穴に関して何も書いていなかったので、今改めて書いた次第です。
と言う訳で、結婚指輪もいよいよプラチナになりました。
仕上げに向けてまた徐々に進んでいきますので、引き続きお楽しみに!
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