前回ロウ付けに関して書いたので、それを踏まえて、またオーダーいただいたネックレス(ペンダントトップ)の作り方紹介を進めていきます。
パーツ同士をロウ付けする
下準備(湯道取り、傷取り等)を終えたパーツがこちら↓
本体の招き猫。
の裏側。
縁部分と下の部分(足の裏)は平面が出ています。
そしてこちらが土台となる板。
この土台と招き猫をロウ付けしていくわけです。
手順としては前回の記事と同じ。
傷取りの終わった各パーツの削り粉や油汚れを中性洗剤で洗い落としておきます。
ロウ付けしたい箇所にフラックス(酸化防止剤)を塗り、バーナーで火を当てます。
フラックスが溶けたら、銀ロウを配置して、徐々に全体の温度を上げていきます。
銀ロウが溶けて隙間に綺麗に流れたらOK。
そしてロウ付けが完了したものがこちら↓
その後酸洗いを行って、ロウ付け作業は一通り終了です。
酸洗い後↓
土台となる板と招き猫がロウ付けされて一つのアイテムになりました。
今回、土台の板は槌目状に加工しているので、招き猫の裏側と100%隙間なく付いている訳ではありません。
ですが、それで良いのです。
当然ぱっと見では分からないくらいの隙間ですし、足の裏はぴったりと隙間なく付いているので強度は全く問題ありません。
そして、実は今回のように、内部に空洞があるもの(招き猫の裏側をくり抜いているため)をロウ付けする場合は、隙間なく付けることはNGなんです。
空洞があるのに完全に隙間がなくなると、熱せられて膨張した空気が外に出ようとして最悪の場合爆発します。
また、中に水分が入っていると水蒸気になるので、いわゆる水蒸気爆発のおそれがあるのです。
もう少し具体的に書くと、水が100度を超えて水蒸気になる時、体積は1700倍に膨れ上がります。完全に密閉された場所で中の体積が1700倍になるという事は、当然外に押し出そうという力がものすごく大きくなる訳で、その圧力に負けると最悪の場合爆発してしまう、という事。
なので、今回のように隙間がある事が実は正解なんです。
一見完全に密閉されたように見えるアイテムでも、2つ以上のパーツがロウ付けされたアイテムは見えない部分に切り込みを入れたり、小さな穴を開けたりして、空気(水蒸気)が逃げるように作られています。
ちなみに、今回はサイズは縦30×横25mm、厚み8mmとそれなりにボリュームがあるので、全体的に一気にロウ付けする事はほぼ不可能です。
なので、ある程度ポイント毎に銀ロウを流していくイメージで、じっくりとロウ付けしています。
例えば、最初はある程度の間隔を置いて銀ロウを溶かしてくっつけ、その後ロウとロウの間に新たに銀ロウを置いて溶かしたり、足の裏部分を先につけてから背中と土台を付けたり、と一気に全体を付けるのではなく、場所毎に何度かに分けて最終的に全体をロウ付けする、という感じです。
さて、これにてペンダントトップ本体のロウ付けも完了しました。
次回はチェーンを通すパーツ、「バチカン」を製作していきます!
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