ここのところアクセサリー、ジュエリー業界は機械化が進み、3D CADや3Dプリンターで作られたアイテムがとても多いです。
それ自体は悪いことではありません。
アイテムの精度も上がり、安価で同じものが製作出来るので、当然今後もさらに増えていくでしょう。
ですが、G-IRONはあくまでも手作業、つまりハンドメイドの可能性を可能な限り追求していく、というのをテーマにしています。
ですので、本当に必要不可欠な場合を除いて、全て手作業での制作を心がけています。
今回はハンドメイドならでは、というか、手彫りの真髄を味わえるようなオーダー品を紹介します。
オーダーメイドSV925梵字甲丸リング
今回の作品がなぜ手彫りの真髄を味わえるのか?
そのあたりの説明は後にして、まずは画像をご覧ください。

リングの外周に梵字が彫られた甲丸リング。
リングサイズは14号、幅6mm、厚みが1.5mm。
割と幅があるものの、厚みが1.5mmなのでスッキリとした印象のリングです。

まず梵字(ぼんじ)の説明を軽く。
梵字とは
梵字とは、古代インドより伝来した、仏を表す神聖な文字の事。
歴史の流れとともに日本独自の文化として梵字文化が発展したようです。
梵字の一文字は神仏を表し、様々な功徳を与え、また災難から守ってくれる力を持つと言われています。
そのため、お守りとして身に付ける事もあります。
今回彫られた梵字は十三仏。
梵字十三仏
十三仏とは、人の死後初七日から三十三回忌までの忌日を司るとされる13の仏の総称の事。
十王(閻魔王をはじめとする冥途の裁判官)信仰と関係して、室町時代ごろに民間に広まった、とされています。
密教六道の話なので少し難しいですが、とにかく梵字一文字一文字は仏のことを表し、神聖な文字だ、とお考えいただければ問題ないかと思います。
さて、そんな神聖な梵字十三仏をリングの外周にグルっと彫ったのが今回のリング。

不動明王のカーンから虚空蔵菩薩のタラークまで、13の文字が彫られていますが、今回の文字は全てオリジナルの字体で製作しました。
幅6mmのリングなので、文字高さは4mm無いくらい。
そのサイズ感でもしっかりと文字が分かるように、太さやバランスなど調整しています。

仕上げは梨地仕上げ、というかブラシで表面を荒らしたような仕上げ。あえて細かな傷を付け、磨かないことで全体を落ち着いた雰囲気に仕上げています。
リング腕中(内側)にはご依頼主様考案のオリジナルのロゴマーク。
こういった通常周りに見えない部分にも自分なりの模様など拘りを詰め込めるのがオーダーメイドの良いところ。

もちろんSILVERと925の刻印も入っています。

さて、こんな感じで梵字十三仏を彫り込んだリングを紹介しましたが、ここで冒頭の話に戻ります。
なぜ手彫りの真髄を味わえるのか
それは、リングが甲丸だから、そして梵字だからです。
例えばレーザー彫刻の場合。平打ちのリングであれば簡単に綺麗な文字を彫ることが出来ます。当然深さも一定で間隔もずれないでしょう。
(とはいえ、レーザー彫刻にはレーザー彫刻なりの苦労があるので、それを否定している訳ではありません!)
ですが、今回のリングは甲丸。
つまり外周が中央部分を頂点に軽く膨らんでいる訳です。
膨らんだ(カーブした)面にレーザー彫刻を彫るのは非常に難しく、おそらく文字の上下が伸びたようになってしまったり、深さが合わなかったり、うまくいかないと思います。
その反面、手彫りであればカーブに合わせて彫るので、平面だろうが曲面だろうが関係ありません。
3D CADの場合は文字の細さがネックになると思います。
特に文字の払い部分などはかなり細く、0.5mmもありませんのでおそらくキレイに彫れず、後々手作業での修正が必要になるでしょう。
そんな理由から、やはり今回のリングは手彫りが最も相応しい、と思う訳です。
また、梵字という文字に関してもあくまでも文字という記号ではありますが、文字そのものに仏が宿る神聖な文字と考えると、機械で彫るのは何か違うのかな、と思います。
リングの形状的な特徴、そして梵字という文字の性質を考えると、今回は手彫りで進める事が非常に重要で、だからこそ手彫りの真髄を味わう事ができるリングになったと思います。
オーダーメイドならでは、そしてハンドメイドならではのリングとなりました。
あなたがオーダーリングをご希望でしたら、ぜひ参考の一つにしていただければと思います!
それでは!

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