前回の記事からだいぶ間が空いてしまいました。
オーダー品の製作も少し落ち着いてきたので、また諸々更新していきたいと思います。
本日はオーダーメイド関係ではなく、既製品のカスタムのご紹介。
G-IRONはオーダーメイドアクセサリーの製作がメインではありますが、ラインナップ製品の販売、リペア(修理)、そして今回のようなカスタムも承っております。
なかなか珍しいご依頼でしたのでこちらのブログでも紹介したいと思います。
B.W.Lペンダントトップカスタム
B.W.L。Bill Wall Leather。ビル ウォール レザー。
言わずと知れたシルバーアクセサリー界の巨匠。
カリフォルニアはマリブから様々なアクセサリーを発信していて、日本国内にも正規取扱店がありファンも多いブランドです。
そんなB.W.Lのペンダントトップ2点を組み合わせ、一つのアイテムに仕上げました。
こちら↓が元の状態。

ユニコーンが丸カン(輪っか)を加えたペンダントトップと極厚のドッグタグ。
こちらを組み合わせて、こんな形↓になりました。

作業の流れ自体は結構単純。
- ユニコーンの口を開き
- 丸カンを外し
- ドッグタグのバチカンをカットして外し
- ユニコーンの口にドッグタグを咥えさせる
なんですが、一筋縄ではいかないのが今回のカスタム。
なぜなら、ユニコーンの口とドッグタグの穴のサイズが合わず、そのままではうまく咥えさせることが出来ないのです。
さらに、ユニコーンの口の中には舌のような突起があり、それがぶつかってしまいさらにフィットしない、という事態にもなっていました。
それらの調整を行い、今回のカスタムとなったわけです。
カスタム方法
作業の流れは上記の通りですが、それぞれの作業はそれなりに知識や技術が必要になります。
簡単にそれぞれの作業を紹介していきます。
ユニコーンの口を開く〜丸カンを外す
ユニコーンの口にはもともと輪っかがついていて、それを外すには2通りの方法があります。
このトップはもともと口の上下は繋がっていて、一体で作られていました。
つまり組み立ての際、丸カンをロウ付けして繋いでいた、という訳です。
単純に丸カンを外すだけであれば、丸カンの一部をカットして開き、外すのが最もスムーズですし、本体への影響も少ないです。
ただ、今回はドッグタグを咥えさせるので、丸カンをカットして外してもあまり意味がありません。
なので、口の部分をカットする訳です。
幸いにも、しっかりと歯が造形されていたので、上と下の歯の隙間に糸鋸を入れ、カットできました。
その後焼き鈍しをして柔らかくしてから、口をがっと開き、丸カンを外します。
ドッグタグのバチカンをカットして外す
こちらの作業は上記とは違い、ドッグタグ本体のみを生かすので、とにかくバチカンを外す必要があります。
なので、バチカンの一部を糸鋸でカットし切れ目を入れてからバチカンを開き、外します。
ユニコーンの口にドッグタグを咥えさせる
今回のカスタムで最も問題だったのはこの作業。
単純にユニコーンの口にドッグタグを通すと、口の中の隙間とドッグタグの厚みが合わず、口をしっかりと閉じることができません。
なので、口の中を広げるか、ドッグタグを薄くする必要があります。
ユニコーンの下顎はあまり厚みがなく、強引に削って口の中を広げるのは強度的によろしくありません。
なので、ドッグタグを薄くする方法を取りました。
とはいえ、全体を薄くすることはドッグタグに入った模様まで削ってしまうことになるのでできない。
なので、口の触れる部分のみを削って薄くすることで対応しました。
具体的にはこんな感じ↓

ドッグタグの穴の上の部分に段差がついているのが分かると思います。
さらに、穴の上の部分の面取りを大きくしてスムーズに動くように調整。
加えて口の中の舌のような突起も削り、当たる部分をなくしました。
側面から見るとユニコーンがしっかりとドッグタグを咥え込んでいるのが分かると思います。

完璧に調整が終わったら、糸鋸でカットした部分をロウ付け。
ロウ付け
このロウ付けも実は簡単ではありません。
まずそれぞれのアイテムがかなりボリューミーな上に、ロウつけ箇所がドッグタグの穴の中で、非常に小さな隙間しかない状態。
なので、失敗するとユニコーンとドッグタグがロウつけされてしまいくっついてしまう、という事態までなってしまう訳です。
そうなるとまた非常に大変なので、歯の部分のみをしっかりとロウつけできるように細心の注意を払いながら慎重にロウ付けしました。
仕上げ
ロウ付けが完了したら仕上げに入ります。
今回は傷取り(新品仕上げ)も合わせてご依頼いただきましたので、磨き直しをする前に全体の傷取りを行います。
あまりに深い傷などは形状が変わってしまう恐れがあるので多少残りますが、細かな傷は完璧に消えて、ほとんど新品状態まで仕上げます。
そして全体を燻し直し、磨き上げます。

ちなみにドッグタグの裏面にはビルウォール本人のサインと限定のシリアルが刻み込まれています。
これもできれば消してほしい(!)というご依頼でしたが、深く刻まれているためその部分の形が変わってしまうこと、またロウを流し込んで埋めたとしても後々色が変わってわかってしまうこと、などを説明し、今回はそのまま残す方向になりました。

表面から見ると加工の後は全く見えませんし、裏面から見ても違和感はありません。
「元からそうだった」くらいの完成度で、かなりパンチの効いたカスタムアイテムとなりました。
限定品でありながらカスタムしてしまうご依頼主様の男気、そしてそんなカスタム作業をG-IRONにご依頼いただいた事、非常に感謝です。
ご依頼ありがとうございました!
オーダーメイド、リペアのみならず、今回のようなカスタム作業も承っておりますので、是非お気軽にお問い合わせください!
アクセサリーのリペア、カスタムに関して詳しくはこちら↓
http://www.g-iron.com/?mode=f11

=====================
オーダーの流れ・注意点に関して→
ABOUT
過去のオーダー作品はこちら →
WORKS
お問い合わせはこちら →
CONTACT
=====================