ここ数日連続でオーダーいただいた「スチームパンク風狼ネックレス」ですが、今回は一旦小休止。
特に製作系に興味のある方のために、少しマニアックな記事を書いてみようかと思います。
前回のブログで軽く書いた、ロウ付け時の注意点に関して少し解説します。
ですがその前に、まずは「ロウ付け」とはなんぞや?という方は以前の記事をご覧ください。
ロウ付けに関してある程度ご理解いただいた上で、前回のブログでは「ロウ付け時の空気を逃がす」という言葉が出てきました。
これは一体どうゆう意味なんでしょうか。
基本的には、ロウ付けというのは面でも線でも点でも、外の空間、つまり空気が逃げる状態で行います。
というと分かりにくいですが、例えばリングの端同士を付ける場合でも、丸カンの切れ目を閉じる場合でも、板同士を付ける場合でも、その時に発生した空気や水蒸気は外に逃げる訳です。
ですが、空気や水蒸気が外に逃げられない状態があります。
例えば箱状のパーツ。それから球体など。
どちらも色々な理由で中を空洞にして製作することがありますが、その場合は2つ以上のパーツに分けて製作し、最終的にロウ付けして一体化する場合がほとんどです。
注意をしなければいけないのはこういったときで、箱状のパーツの蓋となる部分をロウ付けする時など、内部が密閉される訳です。
さて、「内部が密閉された状態でロウ付けをするとどうなるか?」
内部に閉じ込められた空気や水分が温められ膨張して、最悪の場合爆発します。
爆発まで行かなくても、膨張した空気や水蒸気が逃げようとどこか弱い場所を壊して外に出るので、破損します。
水が水蒸気に変わる時、体積は1700倍に膨れ上がります(うる覚えですが)。
そんな膨張したものを内部に留めておくのは厚みの薄いシルバーでは無理がありますよね。
爆発して作品が駄目になるだけならまだしも、その飛んできた部品や破片などでやけど、怪我などしたらたまったものではありません。
僕もその昔、まだ趣味で作っていた頃の話ですが、箱状のパーツをロウ付けしようとした際、空気が膨張して「パン!」と弾け、作品が駄目になったことがあります。(怪我はしなかったので不幸中の幸いでしたが)
そのため、空気が逃げられるように、どこかに空気を逃がすための穴などを開けておく必要があるのです。
例えば模様や文字の中などの目立たない部分とか、燻すとほぼ分からなくなるような溝の中とか、逆にその穴を模様に見立てる、なんて方法も考えられます。
どんな形でも構いませんが、ロウ付け時に中の空気が密閉されて膨張することの無いように、空気を逃がすための穴は必ず開けておきましょう。
前回の記事で書いた「ロウ付け時の空気を逃がす」という言葉は、そんな意味だったんですね。
このブログをご覧になっている方の中で、彫金を始めたい!または最近始めた!という方は是非上記気をつけて下さい!
ちなみに補足。
ロウ付けというのは、母材(=製作しているもの)を温めることでロウ材を溶かし、母材同士を接続する方法。
つまり、母材同士は直接付いている訳では無いんです。
(ちなみに母材同士をつけるのは「共付け」と言います)
厳密に言うと、母材と同じ素材をロウ材として使用して半分共付けのような方法で溶接することもありますが、基本的にロウ付けといえばロウのみを溶かし、接続する方法と考えてもらっていいと思います。
なので、他の部分に関して強度が弱いです。
リングの場合はロウ付けをした部分から割れることが多いですし、ネックレスやペンダントトップの場合もロウ付けした丸カンが外れてしまったりと、通常はロウ付けした部分が破損します。
どうしてもロウ付けの部分は他の部分に比べて強度が弱いのですが、例えば丸カンを穴に差し込むとか、ロウ付けする部分を斜めにしたりとか、ロウ付け時の接続面積を増やして強度を上げる事はできます。
もちろん作品によるので一概には言えませんが、そういったアイデアや工夫で、強度の高い、壊れにくいアイテムになりますので、是非いろいろと工夫を凝らして作品作りに励んでください!
(誰目線?偉そうにすいません!)
という訳で、ロウ付けに関して結構マニアックな?注意点を紹介しました。
さすがに今回の記事は読む人少なそうですねw
次回からはまたオーダー品の作り方紹介に戻りますので、よろしくお付き合いください!
=====================
オーダーの流れ・注意点に関して→ ABOUT
過去のオーダー作品はこちら → WORKS
お問い合わせはこちら → CONTACT
=====================