さて今回もオーダー頂いたリングの作り方を順を追って紹介していきます。
前回でリングの全体的なバランスが出て、今回からは細かな部分に入っていきます。
↓が前回。正面、斜め、横、そして後ろと色々な角度からそれこそ穴の開くほどものを見て、全体のバランスを整えていきます。
今回、まずは全体の荒い傷取りと、リング腕部分の整形から。
リング腕部分という書き方はちょっと分かりにくいかもしれませんね。腕部分とは、その名の通りリングの腕となる部分。今回のリングで言うと、正面のスカルを覗いた部分です。
↓画像のリングで言うと、赤く塗った部分を「腕部分」と呼んでいます。
例えば平打ちリングの場合など、腕部分という考え方がそもそも無いですし、リングの形状によって腕部分の変わってくるので一概には言えませんが、概ね画像のような位置と考えていれば間違い無いかと思います。
完成間近
さて、実はここからワックスの仕上げまで一気に進めてしまい、間の画像が無いんです。
なのでかなり分かりにくくなってしまいますが、一気に飛びます。
作業の内容としては、口の彫り込み。そして目を大きく深く。さらに口を彫った後で全体のバランスを考慮してアゴを短く調整しています。
そして口の裏側、つまりリングの内側部分は厚みと重量の調整のために凹ませています。
ワックス原型の完成
さて、今までご紹介してきた様に、いろいろな工程を踏まえて徐々に形していったリングのワックス原型ですが、↑の画像の後、全体の傷を整えてワックス原型の完成となりました。
この傷取りをどこまでするか、というのは人や作っているモノによってかなり違いがあって、細かな傷まで完璧に消す場合もあれば、今回の様に細かな傷は放っておく場合もあります。
傷取りの方法も様々で、紙やすりを細かな番手(〜1000番位)までかける方法もあれば、ストッキングで磨く方法もあり、「どれが正解」というのはありません。
実際、僕も以前は可能な限り傷を消していました。1000番の紙やすりまでかけた後にストッキングで磨く、場合によってはアルコールやシンナーを使って綺麗にする、など色々と試しました。
ですが今は800番程度の紙やすりで終了にしています。正確には「スポンジやすり」という薄いスポンジの片面が紙やすりになっているものの細かい番手のもので仕上げています。
当然傷は綺麗に消した方がキャスト後の地肌も綺麗ではありますが、完璧に傷を取る労力、傷を取ることで角や面の「ダレ」が出る事、そして結局はキャストした後で削ったり磨いたりする事、などを考慮して、完璧に傷を取る事はやめました。
ただ、自分の趣味程度に制作をするのであれば、やはりできるだけ綺麗に傷を取る事をお勧めします。
傷取りに関して軽く説明しましたが、いよいよ完成したワックス原型の紹介です。
↑は実際にご依頼主様にお送りして確認して頂いた画像です。
こんな感じで色々な角度から撮影した画像を送るので、確認して問題がなければ次の工程(キャスト)に進む、という流れです。
今回は画像を確認頂いた上で、多少の修正のご希望がありましたので、ご希望通りに細部を修正。
それが↓の画像になります。
上のワックス原型と比べると、歯の彫り込みが深く、太くなり、目と目の間のVの部分が少し浅くなっています。
これにてワックス原型の完成。
この後の作業としては、キャスト(鋳造)工程でワックスをシルバーにして、それを磨いて仕上げます。
ちなみに、以前はキャストも自分達で行っていた時期もありますが、諸々の労力やコスト等を鑑みて、現在はキャスト作業は専門の業者に依頼しています。
という訳で、ようやく完成したリングのワックス原型、次回からはキャスト後、シルバーになった状態からお届けします!
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