前回は少しマニアックな内容でしたが、今回からまたオーダーいただいたネックレスの作り方紹介に戻ります。
「スチームパンク × 狼」をモチーフにしたネックレス、前回でワックス原型が完成し、今回は吹き上がり(キャスト上がり)の状態からスタートします。
キャスト上がり
こちら↓が吹き上がり、つまりキャストが完了して金属になった状態。
パッと見た感じ、吹き上がりの状態は上々のようです。
さて、この状態から仕上げに入っていきます。
ほとんどのアイテムの場合まず行うことは、湯道を削り取ること。
↑の赤矢印の出っ張った部分が湯道。
このブログでも何度か説明していますが、キャスト(鋳造)の際に溶かした金属(湯)を流し込むための通路のことを「湯道」と言います。
キャストを行う上では絶対に必要、というよりは無くてはキャストが出来ないものですが、作品としては不要な部分なので削り取ってしまいます。
糸鋸で大まかにカットしてから荒目の鉄鋼ヤスリで削り、最終的に荒目のペーパー(リューターポイントのロールペーパー)まで当てた状態がこちら↓
周りとうまく馴染んでいます。
普段であればここから傷取りへと進みますが、今回は傷取りは後回し。
まずは真鍮のパーツをはめ込んで、ロウ付けしてしまいましょう。
何故かというと、今回は構造上ロウ付け時にかなり火を当てる事が間違い無いので、今傷取りをしても確実に「火ムラ」が出てしまうので、結局はまた削る事になるからです。
「火ムラ」については以前の記事でも書いていますが、火を長時間シルバーに当てる事で表面に銅成分が浮き出てしまう事。
火ムラが出ると、その部分は削り落とす以外に方法がなく、それがシルバーの磨きの難しさの一つだったりもします。
そんなわけで今回は傷取りは後回し。
シルバーと真鍮を組み合わせる
早速シルバーと真鍮のパーツを組み合わせてみます。
ちなみに、当然真鍮パーツにも湯道が付いていましたが、シルバーの湯道を削る時に一緒に削っています。(湯道は内側にありました)
むむ。。。
なにやら隙間がありますね。
これはキャスト時に生じた縮みや歪みのせい。
ワックスの段階では結構ぴったりはまっていても、キャスト後はこういった状態になる事は多々あります。
なので、まずはぴったりと合うように調整します。
当たっている部分を削ったり、歪みを軽く叩いたりして徐々にはめていきます。
上の状態よりもだいぶはまってきていますが、まだ少し隙間がありますね。
このあとさらに調整して、ぴったりとはめることが出来ました。
それがこの状態。
大きな段差や隙間がなくなり、凹みの中に綺麗に収まっています。
この調整の時に焦って中途半端に浮いた状態でロウ付けしてしまうと、その後取り返しのつかない状態になってしまい、作品の出来に大きな影響が出てしまいます。
ですので、時間はかかっても、可能な限りぴったりとはまるようにじっくり調整しています。
さて、ここまで進んだらいよいよロウ付けです。
が、長くなりそうなので本日はここまでという事で。
また次回お楽しみに!
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