「スチームパンク × 狼」。このご依頼を頂いた時、デザインをどうするか、結構悩んだのを覚えています。
まず、僕自身がスチームパンクと言うジャンルは知っていても、詳しく分かっている訳ではなかったですし、実際に調べてみるとまあ奥が深い。
「蒸気機関を使っていた時代がそのまま進化したらどうなるか」というのがスチームパンクの大きなテーマだと思っていますが、いくつかポイントとなるような構造はあるものの、特に決まったものがある訳ではなく、イメージが重要な世界だと思っています。
そんな風な理解から、僕なりのスチームパンク風を考えて製作したのが今回紹介している作品です。
というわけで、作り方紹介第4回スタートです。
機械のパーツを製作する
前回、頭の部分を削って段差をつけ、その部分に合うように別の色のワックスで蓋というかカバー的なものを作りました。
この緑色のワックスで製作したパーツを加工して機械的な部分を作っていきます。
一気に進んでしまいますが、まずはこんな↓感じに。
溶かしたワックスを盛ってその部分を徐々に削って整形。
ですが、実はこの作業がかなり鬼門でした。
最初は大きめに盛ってから削り出す方向で進めましたが、そうすると溶かしたワックスを盛る時に土台のパーツが熱で歪んでしまうんです。
ある程度盛って削った時、さっきまでぴったりはまっていたパーツがはまらなくなっていたのを知った時は目の前が真っ暗になりました(笑)
結構苦労して土台のパーツ作ったのに。。。
ですが泣き言ばかりは言ってられないので、再度なんとか修正し、その後の盛りや削りはパーツが歪まないように細心の注意を払いつつ進めました。
ちなみに余談ですが、この作品までは基本的にハードワックスのみで原型を製作していました。
理由は、他のワックスが使いにくいから。
インジェクションワックスはもちろん、歯科技工士用のワックスなどもいろいろ試してみましたが、結局僕の作り方には紫、または緑のハードワックスが一番合っていると自負していたので、この頃は他のワックスを使う気は全くありませんでした。
まあ複製品のカスタムの時などはインジェクションワックスを加工することもありますが、通常のワックス原型ではハードワックスのみでした。
ですがこの作品を作ったことで、「ハードワックスのみではなかなか厳しい部分もあるなー」と思い、それ以降SDワックスなども原型製作の際に使用するようになりました。
さて話を戻して。
特にどこから作ろうとか順番を決めていた訳ではありませんが、一番下や奥など、別のパーツを加工したり取り付ける際に邪魔にならない所から加工しています。
重要な事は、できるだけ細かいパーツを丁寧に作り込むこと。
スチームパンクの要素の一つとして、入り組んだ機械感というか、機械や部品がごちゃっと織り混ざっているようなイメージを持っていますが、一つ一つのパーツがしっかりと出来ていないと、折り重なった時になんだかわからないものになってしまいます。
なので、ディティールを大事に、丁寧に作り込んでいきました。
上から見るとこんな感じ、なにやら細かいパーツがいろいろとありますね。
後頭部。
全体の大まかなラインのみ彫った状態で、ここから作り込んでいくところ。
スチームパンクの代名詞の一つ、歯車。
徐々に機械類がはっきり出現してきました。
ちなみに右下のU字状の部分はバチカンを通すためのパーツです。
耳の周りにはリベット打ちをしたような部分も。
だいぶ良い感じになってきました。機械部分の「本体」はこんな感じですが、まだ少し物足りない感じもあります。
と言うよりは、元のデザイン画ではまだこの他にもパーツが幾つか付くのです。
なので、次回はこのパーツに付くさらに別のパーツの紹介から、ワックス原型の完成まで、進めたいと思います!
というわけで本日はここまで!
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